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植物に携わる、気になるあの人の対談・インタビュー。

SOLSO 齊藤太一さんインタビュー 「植物も、人も主役の空間づくり」 前編

新しく始まったDo! magazineのトップを飾る記事は、クリエイティブな空間づくりでガーデニング界に革命を起こす、SOLSOの齊藤太一さんへのインタビュー。植物の世界にのめり込んだきっかけや、仕事にかける思い、Do!との共同プロジェクトについて、前・後編2回にわたって迫ります。

SOLSO 代表 齊藤 太一 Taichi Saitou

岩手県出身。高校在学中からガーデナーとしての仕事を始め、卒業と同時に都内の花屋へ入社。2011年に独立し、SOLSO architectural plant farmを設立。隈研吾氏や中村拓志氏など有名建築家とのコラボレーション他、話題の施設の空間プロデュースを多く手がけている。SOLSO FARMのほか、BIOTOP NURESERIES(白金台、大阪)、SOLSO HOME(伊勢丹本店、二子玉川)、宿泊施設GREEN’S FARMS(淡路島)なども展開。Do!との共同開発商品として、土と肥料「evo」などを手がけている。


光に照らされた蘭

齊藤さんがこの業界に入ったきっかけを教えてもらえますか?

斎藤

僕は盛岡出身で、小岩井農場の牧場の中で育ちました。だから日頃から、大自然が遊び場。中学生くらいの頃、山野草の愛好家と一緒に、野草を採りに山に入ったんです。そこで柿蘭という、日本の野生種である黄色い蘭の群生と出会いました。生い繁る森の隙間から陽の光が差し込んで、蘭をぽっかりと照らしていて、その美しさに心底感動して。そこから、親戚の園芸店の手伝いを始めて、植物の世界にのめり込んでいきました。

印象的な出会いですね。

斎藤

原体験ですね。同時に、建築やインテリアといったカルチャーにも夢中になって、自分なりに調べ始め、本で見たフランク・ロイド・ライトの「落水荘」にまた感動しました。こんな空間は見たことがないと思って。その時は建築家になろうと思ったんですが、冷静に考えてみると、建築家はすでに世の中にたくさんいる。この家に自分が魅了されたのは、建物と自然との見事な融合で、それをガーデナーの立場から作れる人はまだ少ないんじゃないかと考えました。「建築やインテリアを理解した上で、空間にベストマッチする緑を作り出せるガーデナーになろう、それを生業にしよう」と思ったんです。

齊藤さん率いるSOLSOの活動拠点となるのが、ここSOLSO FARM。丘陵地に広がる空間は、まるで植物園のよう

齊藤さん率いるSOLSOの活動拠点となるのが、ここSOLSO FARM。丘陵地に広がる空間は、まるで植物園のよう


「植物×空間×人」のカタチを提案

高校生の頃から、自分のやりたいことが明確だったんですね。

齊藤

性格が、面倒くさがり屋でせっかちなんですよ(笑) だから、無駄なことは一切したくなくて。若い頃って、いつか自分が何者かになれるような、根拠のない妄想をするものですよね。僕はそれを15歳の時に捨てて、「人よりたくさん勉強して、人に特別な存在だと思ってもらわないと生きていけない」と悟ったんです。それで、日本庭園やイングリッシュガーデン、生花、フラワーアレンジメントなど、植物を扱うあらゆる経験を、岩手にいるときに全て試みました。中途半端なことをしては遠回りするだけだから、直接家元を訪ねて生花を習ったりして。そんな風に、がむしゃらに経験を積むうちに、青山にある花屋と縁ができて、19歳で入社することになりました。そこから10年間働きました。

SOLSOを立ち上げるに至った経緯は?

齊藤

花屋時代は、いかにカッコよく仕立てるかが大事でした。試行錯誤して10年、だんだんそれでは物足りなくなってきたんです。僕にとって足りなかったのは、「人」という要素。植物と空間を融合させるだけでなく、それを介在する人までをデザインすること。植物と空間と人の3者のバランスを提案する存在が、この業界に必要なんじゃないか、自分はそれを目指そうと思い、SOLSOを立ち上げることにしたんです。

齊藤さんの、インスピレーションの源

植物だけでなく、植物のある空間や人との関わりにいつも目を向けている齊藤さん。インスピレーションのもととなる本も、ガーデニング関連にとどまらず、建築家や写真家など多岐にわたる。

左から、建築家Frank Lloyd Wrightの「Fallingwater(落水荘)」、写真家Tim Walkerの「Pictures」、ガーデナーPiet Oudolfの「Hummelo」。空に浮いたベッド(中央)がなんとも印象的。

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SOLSO FARMの敷地内は齊藤さんやスタッフが各地で買い揃えてきたインテリアや小物が、空間をユニークに演出。週末はキッチンカーでご飯も提供していて、気分はさながらピクニック。

SOLSO FARMの敷地内は齊藤さんやスタッフが各地で買い揃えてきたインテリアや小物が、空間をユニークに演出。
週末はキッチンカーでご飯も提供していて、気分はさながらピクニック。


「かつて見たもの」を超える

「人」に目を向けたのがユニークですね。

齊藤

僕のモチベーションの源泉は、いつも人にあります。自分が学べば学ぶほど、出会う人が増え、自分に何かを求める人が増えてきます。人との出会い、その人と話したことや約束、喜ばれたいという思いがあるから、今までブレずに自分のやるべきことをやってこれたんだと思います。そして、自分が感じている自然の美しさやありがたみを人に伝えていく、それが僕の使命だと思っています。

商業ビルや公共空間にグリーンをコーディネートするお仕事も多くされていますね。

齊藤

ええ。うちに来るオーダーは、ヴィジョンが明確に定まっているのではなく、僕らの提案や答えを欲しがっている場合が多いんです。だから、コンセプトメイキングから入って提案します。ヒアリングして、相手の考え方や姿勢を聞いて、それを体感できる場所に足を運び、解読して答えを出す。そうやって進めていきます。無理難題が多いんですよ、例えば「植物を宙に浮かせたい」とか(笑)でもそういう時こそ、自分が試されている気がして、やりがいを感じますね。毎回が真剣勝負。人は目で見たものしか想像できないから、ついついアイデアのソースをかつて見たものに求めてしまう。でも今の時代はもう、頭で想像できるレベルのことは古いし、面白くならないですからね。
(つづく)

2010年3月にオープンしたライフスタイルからファッション、ボタニカル、フードまでを提案する複合型ショップ。東京・白金という土地でも自然を体感できるような空間にするため、一年中変化のある植物をいれている

2010年3月にオープンしたライフスタイルからファッション、ボタニカル、フードまでを提案する複合型ショップ
東京・白金という土地でも自然を体感できるような空間にするため、一年中変化のある植物をいれている


 

 

SOLSO
SOLO FARM
216-0001 神奈川県川崎市宮前区野川 3414

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